駐輪場エピソード
私は初めて社会人になった2010年からずっと最寄駅の新小平駅まで原付バイクで移動しています。
すごく便利なことに駅の真横に駐輪場があるんです。それこそ、改札を出て20秒というアクセスの良さ。
この度、ずっと利用していた最寄駅の駐輪場が閉鎖することになりました。
私はこの駐輪場が好きでした。
社会人1年目のある日
「いつも沢山荷物持ってるね。お仕事頑張ってるんだね」と駐輪場管理のおじさんが声をかけてくれました。
私は両手に”お客さん”に提案するための生命保険の資料を手提げ袋一杯に入れて移動していました。
“お客さん”
と言っても、
私が勝手にお客さんにしてしまっているだけ。
提案どころか、
話を聞いてもらえるかどうかも分からない資料を毎日重い思いをしながら持って営業活動をしていました。
営業活動がうまくいかず、
心虚しく寂しい思いでいるときに、
おじさんがかけてくれたのがその言葉でした。
おじさんは私のことは知らないし、
私がどんな仕事をしているのかも知らない。
けれど、
毎日重そうな荷物を持って駐輪場に現れる私の姿を見て、そう声をかけてくれました。
正直、一杯一杯だったので、心が救われました。
「世の中、見てくれてる人はいるんだなぁ」って。
情けないことに営業として成果を会社に持ち帰ることが出来ず、いかに私がダメかということを延々、怖ーい所長に営業所で浴びせられる日々。
あの当時、心はクタクタでした。
会社でも、家庭でも、お客さんの前でも
褒めてもらえることはなかったから、
あの時の何気ない一声が印象に残っています。
「認めてくれる」
「肯定してくれる」
こんなにも心が晴れやかな気持ちになるんだ。
ある時から定期利用の枠が空いたため、一時利用のときのように150円を支払うときにおじさんが来て声をかけてくれることはなくなってしまったけど、
最近も変わらず駐輪場を利用する人に
あの時私にしてくれたように声をかけてる様子を見かけてました。
私にとってそんな思い出のある場所なので、
今回閉鎖すると知ったときは寂しい思いがしました。
余談ですが、結婚をすると役所で本籍を決めますよね。私は駐輪場の住所にしました。
今のエピソードとは違う駐輪場ですけどw
結婚前によく妻と待ち合わせた思い出の場所、桜がキレイだった。
営業 / 佐藤