観る映画は昔からほとんどが洋画。
邦画もたまに観ますが、
なんだか役者や監督の恩着せがましさが伝わってきてしまい
スッと入ってこないことが多い。
だけど、小説は日本人作家が好きです。
私が今のところ一番好きな小説、乃南アサさんの「ニサッタ、ニサッタ」も、
最近読んだ荻原浩さんの「神様からひと言」も、
主人公の青年にすごく感情移入出来る。
神様からひと言 荻原 浩
大手広告代理店を辞め、「珠川食品」に再就職した佐倉亮平。
入社早々、販売会議でトラブルを起こし、リストラ要員収容所と恐れられる
「お客様相談室」へ異動となった。クレーム処理に奔走する亮平。
実は、プライベートでも半年前に彼女に逃げられていた。
ハードな日々を生きる彼の奮闘を、神様は見てくれているやいなや・・・
サラリーマンに元気をくれる傑作長編小説。
サビ、大サビみたいな大っきな事は起こらなくてもよく、
主人公や、主人公を取り巻く人たちの感情が、
何かによって緩やかに変化していくような小説が好き。
映像で見てしまうと、もうその俳優さんにしか見えないけど、
小説だとなんてゆうか、自分の想像のキャラクターだから
ある意味その人物を生み出した自分にその瞬間から責任があって、
その主人公はもう自分自身になっている。
でもある時は「どうせ小説だし」と都合良く切り捨てることも出来る。
この本の主人公「亮平だったらこの状況こんな風に乗り越えるんだろうな」とか、
自分を通してそのキャラクターが力を発揮してくれる時がある。
自分の感情と小説が化学反応を起こし、見えないエネルギーが、
バァ―っと出るときが稀にある。
久々にそんな小説に、そんな主人公に出会えた感じでした。
営業/刈間