もしもフォークリフトを乗りこなせるようになったら、どれだけ仕事探しの選択肢が広がるだろう?
もしもフォークリフトを乗りこなせるようになったら、何歳まで仕事が続けられるだろう
「働き口が広がればいいな」
そんな希望と期待があったからこそ、私たちはフォークリフト運転技能講習を受講した。
しかし、
フォークリフト講習修了証を取得し、就職活動で知ったことは、
「フォークリフトは実務経験がないと就職が難しい」
という現実。
このような理由でフォークリフトオペレーターの仕事を得られていない求職者は多いのではないでしょうか?
「実務経験がないからこそ、経験を積みたいんじゃないか」
まったくもってその通り。
その気持ちはまったくもって同感です。
私自身、派遣会社の営業として求職者と企業のマッチングをする立場にいて、最も「不合理」と感じたのが
「フォークリフトの仕事を望む求職者」と「フォークリフト人材を求める企業」の間のミスマッチング
この不合理の理由、
ひとつは
フォークリフトオペレーターを求人する企業が求めるのは「即戦力」であること。
もうひとつは「初心者」を育成することのリスクが企業側にあるということ。
人手不足で猫の手も借りたい中、
初心者のフォークリフトオペレーターを育てながら、日常業務をこなすのは「仕事が増える」のと同じ。
そもそも企業がフォークリフト人員を増やす目的は
「1人にかかる仕事量の分散」
「業務効率化(残業の軽減)」などです。
これが本質的な目的だとするならば、
一人立ちするまでに数日~数週間〜数ヶ月かかる初心者フォークリフトオペレーターを受け入れ育てるということは、企業側にしてみたら「将来を見据えた投資」
例えるならば、
今、喉が渇いていて、自販機にお金を入れて、飲み物買って、喉を潤したいのに、
飲み物がすぐ出てこない状態。
お金がかかる割に目的が果たせないリスクがあるということ。
そうつまり、
「投資」というからには、失敗もあり得るということ。
①フォークリフトの技術が向上しなかった場合
→「センスがあるか、ないか。いくらやっても上手くならない人は正直いる」というフォークリフト実務経験者の声は少なくない。フォークリフトの爪で商品を刺してしまったり、人身事故や設備の破損が起こるリスクもある。
②「やっぱり向いてないので辞めます」と途中リタイヤされた場合
→せっかく実務経験のチャンスを得ながら。初日でリタイヤする人も実際にいた。「経験してみて、自分はフォークリフトの仕事じゃないと分かった」と言う。
こうなるとそこまでに企業側がかけた
「面接」「事務手続き」「オリエンテーション」「フォークリフトの指導」にあてた時間
「求人広告費」「面接にかかる人件費」「フォーリクフト指導者の人件費」「初心者フォーリクフトオペレーターに支払うお給料」などのお金
これらすべて無駄になるということ。
だから、
初心者フォークリフトオペレーターを受け入れることは
「投資」であり「リスク」であるということが企業側から見た懸念です。
正直、日本の労働力不足問題の中、育成して自社に人材を確保したいという気持ちが企業側にない訳ではないのです。
ただまだそこまでリスクを覚悟で踏み切れないというのが本音な気がします。
そういった理由から、
フォークリフト講習修了証の取得後に、フォークリフト実務を経験したことがないペーパードライバーが多くなっています。
あまりこういった現場事情が知られていないためか、
「フォークリフト講習修了必須」という求人票の資格条件をクリアすることを目指し、取り急ぎフォークリフト講習を受講している方が多いようです。
もちろん免許がなかったら応募資格すら得られないので、フォークリフトの免許を取得すること、自助努力でもって働き口を広げようとする姿勢は素晴らしいことです。
また倉庫業・物流業に少なからず興味を持って頂いてることは、物流業界からしたらものすごくありがたいことだと思います。
物量に比べて、作業員の数が足りていないという現場は本当に多いのです。だからミスマッチングが起きてる現実は本当にもったいない。
問題は、
免許取得〜就職までの道のりが整備されていないこと
フォークリフト講習修了証を取得し、
期待と裏腹に就職のチャンスをなかなか得られない求職者さんたちのなんとも残念そうな表情を、声を私は目の当たりにしてきました。
それはそうです、
みなさん、「フォークリフト免許を取得すれば仕事が得られるぞ」って期待に胸膨らませて一生懸命、学科や実技を4日間(31H)やってきたんです。
「仕事が得られると思って、せっかく免許を取得したのに・・・」って。
ご相談を受けた私も同じ気持ちで歯がゆい気持ちです。
これまでに初心者〜実務経験までお手伝いできたスタッフさんは、私が担当した中で6名います。
これは当社で取引させて頂いてる派遣先にフォークリフト実務未経験者の受け入れを許可頂いた稀なケースです。
つまり「投資」頂いたということです。
そのうち実際に実務で活躍するまでに至ったフォークリフトオペレーターは3名です。
少ない統計でも2人に1人、挑戦者の50%しかチャンスをモノにしていないということ。
これは本当に少ない。そもそも挑戦まで至った方が6名しかいないことを考えると本当に狭き門です。
先ほどの「免許取得〜就職までの道のりが整備されていない」というところを深堀してみましょう。
①そもそもフォークリフトを操縦するチャンスが少ない
→自動車なら家族や友人も持っていることが多く、レンタカーもある。運転しようと思えば、車を手配することは難しくない。
フォークリフトを持ってる家族、友人・・・あんまり聞いたことがありませんね。
②免許がないと運転できない
→「昔は免許なくてもフォーク乗ってたんだよ」という声をよく聞きます。その時代に経験された方は、後付で免許を取得された方が多い。現代では無免許の方がフォークリフトに乗ることをどこの企業も禁止しています。
③企業側の人的資源に余裕がない
→育てる余裕がないんです。物量に対して人手が足りないから、増員のために求人するのです。「フォークリフト免許」に「実務経験必須」を追記してる求人票も多い。指導者を割り当てるということは、ただでさえ少ない頭数が1人減るということです。そうやって人手が足りない状況で指導に当たると余裕がなくなるので、あまり腰を据えた良い指導ができなかったりします。
現在私はこの問題の解決を目指しています。
一人でも多くのフォークリフト講習修了者にフォークリフトオペレータとしての就業機会をもってもらいたい。
営業 / 佐藤