計算…、してますか?
先日の日曜日、私は息子(小学5年生)とランチに行ったのです。
皆さまお疲れ様です。
スクエアライン、金曜日ブログ担当の梅田敬子でございます。
今回は私の休日の様子をお届けいたします。
昼時のショッピングモールにあるレストラン街は、どこも行列が出来ています。
定食屋さん、ファミレス、回転寿司…。どこもかしこも並んでいます。
その中で私は行列が出来ていない、すぐに入れそうなお店を見つけました。それは、他の店よりも少しだけお高めなオムライス屋さんです。
お腹を空かせている息子に早くランチを食べさせたい…。しかもさっき行ったゲーセンではいつもよりもお金がかからなくて済んだ…。
頭の中で素早く計算すると、すぐに少しだけお高めなオムライス屋さんへと向かいました。
オムライス屋さんのおしゃれなドアをギィーと開けると、席が大分空いています。
私と息子は喜び勇んで案内してもらった席に着きました。
早速メニューを広げます。私と息子は仲良く同じものを注文することにしました。
カレーピラフを卵でくるんでハンバーグをのせ、その上にチーズをからめたデミグラスソースをかけてあります。その上にそっとルッコラをあしらい、彩りへの配慮にも余念がありません。
店員さんへオーダーし、しばらく待機の時間です。息子と指遊びなどをして暇を潰しておりましたが、不意にこのお店の今のこの時間、利益はどれくらい出ているのか気になり始めました。
まずテーブル席を数えます。4人がけの席が5つ。それが4列並んでいますので、満席の状態だと80人入ることになります。
その店内は約6割強埋まっていましたので、60人位のお客さんが入っているようです。
1人当たりそのお店に45分いたと仮定して利益の計算を進めたいと思います。
まずは売上!
お高めなオムライス屋さんのランチ平均価格は950円。ドリンクは別注文ですがセット価格150円です。子供向けメニューもあるし、サイドメニューも多くあることを考慮すると1人当たりの客単価は1200円。
45分間の売上は1200×60=72000円。飲食店の粗利は売上の約3割と言われておりますので、粗利は21600円です。
これを1時間に換算すると粗利は28800円!
次に人件費!
ホールには女性スタッフが4名、男性スタッフが1名います。
ホールにいるスタッフの中で1名だけ社員がいるとします。
時給950円のスタッフが4名、社員1名は時給換算して大体1300円とします。
ホールスタッフだけでも1時間の人件費は5100円です。
「よし、あとはキッチンのスタッフの人数を聞くだけだ…。お会計の時にスタッフさんに尋ねよう。あ、でも『え?なんでそんなこと聞くの?何なの?この人…。まさか競合店のスパイ?』とか思われるかなあ。うー、どうしよう?何て言って尋ねよう。ここまで計算して利益の計算を終わりに出来ない…。どうしてもキッチンのスタッフの人数を聞きたい…。」
考えをグルグルめぐらせていると、息子がイラッとしながら言いました。
「ねえ!ちょっと!何キョロキョロしてんの?なんでそんな周りを見渡してんの?恥ずかしいよ!やめてよ!」
どうやら計算に夢中になる余り、私は他の人よりも動きが派手になっていたもようです。思春期に片足を突っ込んだ息子は母の行動が恥ずかしくて嫌でたまらなかったのでしょう。
「ああ、ごめん…。今さ…、利益を計算してた。まだ計算の途中なんだけどさ…。」
「りえき?何それ?なんなの?」
「この店がどれくらい儲かっているか計算してるんだよ。他の店よりもお客さんが少ないんだから、利益がどれくらい出るか気になるじゃん。」
「この店がもうかってるかどうかなんて、オレは全然気にならないよ…。」
息子は心の底から、1ミリも、髪の毛の先ほども興味が無さそうでした。
私は構わずキッチンの人件費を割り出す仮説を立てます。
恐らくライス担当、卵焼き担当、その他担当の3人で回しているはず。それ以上でも以下でもない!昔ファミレスでバイトしていた(19才当時。若い!)記憶をたどります。
キッチンにも社員1人がいると仮定します。
時給950円のスタッフ×2人、1300円の社員1人としてホールの人件費は1時間当たり3200円。
28800円-5100円-3200円=20500円
うん!ピーク時1時間当たりの利益は20500円!
その他、消耗品、光熱費など細かな経費をマイナスして純利益を出さないといけないのですが、この昼のピーク時に20500円ならまあまあ大丈夫かも…。
仮にお客さんの滞在時間が1時間とすると
21600円-5100円-3200円=13300円
ひえー!1人あたりの滞在時間が15分伸びただけで一気に利益が7200円も下がります。
もしも客単価が1人当たり1100円だとしたら粗利は19800円、さらに人件費をマイナスすれば、ますます利益は減少します。
こ…、これは早めに帰って顧客の回転率を上げなければ…。一日一善に差し支える可能性がある…!
そうこうしている間に、オムライスが出てきました。メニューにあった写真と同じ!私と息子はテンションが上がります。
カレーピラフを卵でくるんでハンバーグをのせ、その上にチーズをからめたデミグラスソースをかけてあります。熱々ホカホカ。いい匂い!写真よりも数段良い!美味しそう!
美味しかったし楽しかったし、私と息子はおしゃべりをしながらゆっくりオムライスを食べました。
お会計の際に店員さんに
「あの…。キッチンのスタッフは何人いらっしゃるんですか?」
と尋ねてみました。店員さんは当然「何で?なんでそんなこと聞くの?この人何?」
という表情をあからさまにしました。私はひるまず、
「あの…。卵をたくさん焼くので何人くらいで回してるのか気になったんです…。」
利益の計算のためだなどとは言えないので考えておいた薄い理由を伝えます。店員さんは
「あ、え…?キッチンは3人でやってます、今…。」
戸惑いながら教えてくれました。やはり…、計算通り…!
息子の冷ややかな視線を視界の端にとらえつつ時計を見ると、入店から1時間以上経過してしまっていました。しまった…。1時間以上滞在してしまった…。店の回転率には貢献出来なかったかな、もう少し何か頼めば良かったかな…。
オムライスは美味しくて幸せだったけれど、僅かにしおれた心を抱えながら店を後にしたのでした。